今回は、今の時代の直前過去世ストーリーです。
太陽が暑い。
どこまでも続く青空・・・

さっき防空壕の中で誰かが言っていた言葉が耳にこだまする。
「もう日本は負けるって外で誰かが言ってたよ」
これからどうなっていくのだろう?
傷ついた兵隊さんも日を追うごとに増えている気がする。
美代子(ゆず) 17歳
太平洋戦争のため学校の仲間と一緒に、沖縄陸軍病院の看護要員として働いている。
“ひめゆり学徒隊” いわゆる、ひめゆり部隊である。
疲れた身体と心に鞭打って、病院と防空壕を行き来するだけの苦しい日々。
けれど美代子には密かに楽しい充実した時間もあった。
それは、友達かほるの存在。
かほるとならどんな秘密も分かち合える、心から笑い会える、そんな関係だった。
2人でならば死ぬことすら恐くなかった。
かほるは勇敢な女性だった。
皆が毎朝、天皇陛下に向かって頭を下げのるに、かほるだけは嫌がった。
戦争は間違っている!それが理由だった。
そんなかほるを見るたび、内心美代子はパラパラしていた。
けれど一方で、何者にも媚びない、そんなかほるが羨ましくもあり眩しくもあった。
かほる(あず) 16歳
美代子と同じく“ひめゆり学徒隊”に所属している。
かほる 「そうだね、日本はもうダメかも・・・」
かほる 「でも覚悟は出来てる。美代ちゃんと一緒なら恐くないし」
美代子 「そうだね、わたしも!」
美代子とかほるは暗闇の中、手を握り合ったままうなずき合った。
1ヶ月ぐらい経ったある日・・・
美代子が仕事を終えて防空壕に帰ってくると、かほるの表情が何となく暗い。
訝しげに見つめていると、外に出ようとかほるがそっと合図を送ってきた。
周りに気づかれないように静かに外に出た。
美代子 「どうしたの?」かほる 「昼間、紙を拾ったの」
首を傾げる美代子に、もどかしそうな表情で、
かほる 「空から紙が落ちてきたのよ。ほら見て!」
美代子がその紙を広げると“日本が負けるから降参しなさい” と書いてある。
素直に降参すれば、命は保障するとも・・・。
美代子 「どういうこと?」
かほる 「多分、アメリカが落として来たんだと思う」
美代子 「降参すれば命は保障するって書いてあるけど?」
かほる 「信じられる訳ないじゃない!相手は、鬼畜米英よ!」
美代子 「そうよね。あいつらのことだもの、あんなことやこんなこともされちゃうわ、きっと!」
鼻膨らませて喋る美代子を見て、かほるは思わず噴出した。
かほる 「そうよね!・・・でも、本当はどんなことされるんだろう?」
美代子 「… 分からない・・・でも、きっと我慢出来ないような恥ずかしいことでしょ!」
かほる 「うん!こういうときは、やっぱ死ぬしかないよね」
美代子 「でも、仲間のみんなには知らせたの?」
かほるは黙って首を横に振った。
かほる 「みんなには教えない。」
美代子 「そうだね、教えたら皆うるさくなるもんねぇ」
かほる 「ねぇ、内緒にして2人で死んじゃおうか?」
日頃から周りの大人たちに、アメリカ兵は“鬼畜米英”“何をするか分からない獣”だと刷り込まれてきた2人は、自分達の身を守るためには、潔く自決するしか道はないと思い込まされていた。
それからしばらくしたある日。
重要な話があると言って突然、生徒たちは防空壕の外に集められた。
静まり返った防空壕の中、美代子とかほる2人だけが残っていた。
素早く美代子は隠していた包丁を2つ持ってきて、1つをかほるに渡した。
決行するチャンスは今しかない!2人はそう決意したのだった。
かほる 「わたし達・・・もっと平和な時代に生まれたかったね・・・」
美代子 「うん・・・勉強ももっと沢山したかったなぁ・・・」
かほる 「でも、美代ちゃんと一緒にいられたから幸せだった」
美代子 「わたしも!また来世でも、かほちゃんと一緒に生まれ変わりたいな」
ふたりは静かに見つめ合った。
万が一にも失敗しないように・・・
それが、お互いに対する愛情の証だった。
1,2,3・・・
刺し違えて自決!・・・・昭和20年 初夏の出来事であった。
でも実は、これが大間違いだったみたいです。
中間世(天国)で私たちを待っていたのは、厳しいお叱りでした!
詳しくは次回をお楽しみに!
シャイニングライフ コンサルタント ゆず&あず


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